ケンタッキー州のpanopticonとワシントンDCのvestigesによるスプリット12''です。いよいよブラックメタルについて言及しなければならない時が来たのか…と戦々恐々ですが、俺はブラックメタルまーったく詳しくないのでやっぱそんなんはしませーん！その筋はアホほど詳しいプロの方々がさんざん書いてるので、各自目の前の便利な箱使って調べるべし(放棄)。いや、ホントブラックメタルは深すぎ。俺も色々巡ってみたけど、音楽性にしろ思想にしろ、今一番伸びしろがあって面白いことやってる、やろうとしてるのは間違いなくこの界隈だろうね。ジャンル特有の思考スタイルというか意識の高さというか、やはりそういったものも影響するんでしょうかね。

さて一発目は毎度おなじみのvestigesさん。当ディストロでも過去作を取り扱わせていただいておる通り俺はモチロン大好物だし、上々の反応もいただいているこのバンド。オリジナル曲としてはghaustとのスプリット以来っつーことで、曲タイトルもその続きのVIIとVIII。一応2曲扱いだけど、通して18分以上の長尺1曲みたいに聞いた方が自然やね。約5分30秒をイントロとして使って(VII)流れるように爆走パートに突入する様子を聴いて、もうほんと間違いないなこのバンドは…とね！その瞬間の為だけに買っても損はしないっつーくらいのカタルシス。勿論その後もダイナミズムとドラマ性溢れすぎな壮大叙情絵巻完遂です。このバンドに関して言えば、1stの時点ですでに世界観が完成されているバンドなので、もう言うことないです。初聴の方は是非1stからスプリット含め今作までコンプリートしていただきたいバンド。fall of efrafaに追いつけ追い越せ出来てるのはこのバンドくらいじゃないの？と本気で思ってます。このままストレートに超えるのか、別の道で超えるのか、なんにせよ楽しみですな。

続いてpanopticon。A.Lundrっつー方による一人ブラックメタルらしく(実はもう一人いる？説も見たな)、既に数々のスプリット作品等に加えアルバムは4枚リリース、世界で絶賛されているバンド？です。これはもう本当に恥ずかしいんだけど、俺はこのスプリットでやっとこさ初めて聴いた有様です。なんとなく、レビューなどで漂うワードから苦手感が拭えなくて手が出なかったんだよな…。カスカディアンっつーんすか？とかポストロック＋ブラックみたいな感じが流行りましたが、どうも個人的にそのライン苦手で…。んで実際に聴いてみるとまあ、シューゲイザー的浮遊感ある壮大ブラック、みたいな。いやあ完成度クソ高いし全く悪くないけど、うん悪くないけど…てなっちゃったなあ。それよりもビビったのは3曲目suicide nation(yaphet kottoとスプリット出してたバンド。後にメンバーはa light in the atticに。)のカバーっすわ！もう完全にこっちが本命もド本命！悪いけど、正直前2曲が記憶の彼方に吹っ飛ぶ勢いで素晴らしい！！
その他、bandcampなんかで過去作も聴いてみたんだけど、そっちの方が全然ブッ飛んでて素晴らしい曲やってるじゃないのpanopticonさん。作品によってかなりカラーが変わるようで、笛やら民族楽器やらを大々的に使ってみたり、それでいて凶悪なブラックメタル然としていたり、はたまた浮遊してみたり、ここに表しきれないくらい面白いことしてんの(ココで聴けるから興味あれば是非。)。なのに何故この作品ではこんなに纏まってしまったのか。

そんな2バンドによるスプリットでした。ともかく、下の視聴でvestigesのVIIからVIIIへ入る瞬間の爆発、そして5曲目panopticonによるsuicide nationだけでもお聞き願いたい。つーかpanopticonについては俺のクソレビューより、そこら中にもっと的確に本質掴んだレビューがあるのでそっちの方が参考になる。し、勉強にもなるので興味沸いた方々は本当調べて読んでみ。面白いから。俺も楽しみながら読んじゃったよ。深すぎ！