カルフォルニアの激情バンド、メンバー全員が(おそらく)東南アジアにルーツを持つHawakの2021年作、1stフルレングス12''入荷!zegema beach records、left hand labelによる共同リリース。なんとはなしにzegemaのbandcamp漁ってたら見つけてブッ飛ぶ程良かったので居ても立ってもいられずの入荷。最近ずっと聴いてます。
kidcrashやbeau navireなどの00年代後期〜10年代初期の激情バンドに通ずる美麗さや展開の妙、音作りを想い起こさせつつもportrait of past、funeral dinerなどのUSレジェンド激情たちに通ずるいなたさや隙間の使い方や枯れ感、それらへのリスペクトが一発で感じ取れるサウンドが素晴らしい。00年代辺りの激情がフィーチャーされて過去作の復刻なども多々起こっている今現在2020年代にこれが現行のリリースとして世に出たことには何か大きな意義を感じますね。音としては前述のようなUS激情レジェンドたちのサウンドを実に上手く解釈していて、そのダイナミックさや緻密さ、粗さや荒さは激情ファンには間違いなく刺さりまくるものになってます。歌詞の内容としては抑圧とそこからの解放、過去のトラウマ、自己のアイデンティティへの問いかけなどの表現が多く使われており、中でも印象的なのはアルバムタイトルにもなっているトラック7「nuoc」のラストで繰り返される「Mày là ai?」という言葉。全英詞の中で唐突に使われるこの言葉はベトナム語で「お前は誰だ?」の意で、付属するインナーの中ではメンバーの一人がベトナム系アメリカ人であることやその生い立ちと苦悩や誇りを語っています。そんな中で使われる、自分への問いかけとしての「Mày là ai?」の意味はあまりにも重い。
音からして若さは感じず、むしろ歴戦感があるので「これは絶対過去に他のバンドやってた人らだろう」と思って軽く調べてみたら、メンバーの数人は00年代後期に活動していたサンフランシスコの激情バンドmatsuriでも活動していたらしくビックリ。そちらも線が細く閃光のように儚く熱いクソカッコいいバンドで、このHawakとは違えど通ずる良さがあるから良かったら聴いてみて。
matsuriも少し前にzegemaからディスコグラフィーがリリースされたようです。要望あれば入荷します。
アジア圏内と言ってもこの日本に住む私達では、さらには彼らのルーツである東南アジア本国に住む人々ですら、アメリカで暮らすアジア人としての彼らの表現の深いところまでは思慮が及ばないかもしれないと思いつつ、インナーで語られる彼らの赤裸々な文章やその歌詞からは「連帯し、解放され、良く生きたい」という希望が見て取れます。色々なものがハイブリッドされたこのアルバム、新時代の激情名盤です!超おすすめ!
全10曲収録。
※ダウンロードコードは封入されていません。ご了承ください。