岐阜県羽島から世界へ。quiquiの1stフルアルバムを入荷です。日本のLongLegsLongArms RecordsとイギリスのDog Knights Productionによる共同リリース。やっぱアルバムっていいですね。複数の意思が一つに統一されてゴールに向かっていてそれが集約されにされたその時点での集大成的な。作品の華的な。同じく3LAからリリースされていた前作「町の鈴生り」は一つのアルバム作品としてみると、まあ編集盤という性質上仕方がないんだけどやはりちぐはぐ感はあって。それでも激情的なものを基盤にしながらテクニカルでマスロック的なアプローチやミニマル感、実験的なフレーズや展開などチャレンジングな要素がふんだんに盛り込まれた楽曲達はどこか歪ながらも面白く、光るものの欠片が雑多にそこら中へ散りばめられていた印象。今作「もう少しの暦」ではそういったこれまでの欠片全てが一つのアルバム作品としてギチギチに集約されついに形を成したように見えます。
先行で公開されたMVの楽曲「もう少しの暦」ではそれまでの激しいスクリーモ的アプローチを一切排し音数もハーモニーも必要最低限ギリギリ極限のところまで削ったメロウなサッドエモっぷりがもの凄くて度肝抜かれたんだけど、なるほどこうなったのか〜!と妙に納得できる内容で。とか思ってたら続いて公開されたMV「Progressive」がまるで真逆、ギチギチに狂ったサンディエゴ産か?てくらい最高アバンギャルドな楽曲で「は?」ってなってもう笑いました。振れ幅凄すぎ。今作ではこの狂気の振れ幅がアルバム全編を通して繰り広げられるんだけど、前に感じたちぐはぐ感は無くむしろ統一された芯が見えるような。バンドとしての意思やその強度が格段に固まったのを感じます。狂気的ではあるんだけど随所から感じ取れる詫び寂びも素晴らしい。メロにもコード感にもリズムの配置にも見て取れるこの高度な詫び寂びがあるからこそただ狂ってるだけでは成しえない世界観に到達してる感があります。
正直俺はもう悔しいくらいに滅茶苦茶に刺さってしまったアルバムですね。もう激情がどうとかをだいぶ飛び越えちゃっているアルバムなんだけど、それでもまさかのLa Quieteのナイスカバー(選曲も渋い)が収録されていたりでギリギリ激情ってところに踏みとどまってる感も個人的に好印象。「あれ、これ時代を象徴するレベルの作品では?」ていうのに何度か出会ってきたけど、このアルバムもその予感がします。まあよく外してるけど。でもなってほしい、そう思わせるくらい良いアルバムです。全14曲収録。
・ 型番 |
3LA-048 (Long Legs Long Arms) |
・ 販売価格 |
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SOLD OUT
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