前作「新世界標本」から満を持してのフルアルバム。今作では前作からの流れを汲みつつ、さらに深淵へ潜るような世界感を構築している。
バンド自身がハードコアを基調にアートを表現する「アートコア」というスタイルを標榜しているとのことで、一聴すればなるほど、その計算され尽くした楽曲構成や徹底された歌詞の世界観などからそれを存分に感じ取ることが出来る。前作にも増して音数を削り隙間を多く配置したミニマルな楽曲は凄まじい緊張感を保っていて、不協和音がさらに不穏な空気感を演出、プログレッシブである意味機械的とすら言えそうな楽曲は一聴するととても暗く冷たい印象を受けるけど、中毒性がある。個人的には和ホラーのそれをとっても感じるけど、どうなんだろ。映画でいうと回路とか仄暗い水の底からとか。あと伊藤潤二作品とか。なんというか、ジメっとしていてヌメっとしていて不気味で正体不明で儚くて美しくて。
音的には少し遠いかもしれなけど、個人的には中期〜後期のkularaとかcleanerに近い気概を感します。そして、同じくtill your death recordsから同時期にリリースされたweeprayのアルバムもそうだけど、既存のものに囚われまいという独自性、そしてアートワークも含めて高い美意識が存分に詰め込まれていて表現というものあり方を考えさせられます。全9曲収録。
・ 型番 |
TYDR-20 (till your death records) |
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